昨年3月から始まった坂本成さんの「精密油彩画」作品紹介、今回が最終回となります。
建築家である坂本さんの目を通して描かれたヨーロッパ各地の市街・村々・教会、建物、いずれも臨場感に溢れ、如何にもその場に居るかのような感覚に捉われます。
最終回の今回は、イタリアの文化都市フィレンツェの象徴、ポンテ・ヴェキオです。
「ポンテ・ヴェキオ(Firenze)」
とうとう「花の都」であり「ルネッサンス発祥の都」フィレンツエに来た。
アルノー川に架かるベッキオ橋の向こうに夕陽が沈もうとしている。
この橋を見ていると浮かんでくるメロデイがあります。
プッチーニの喜歌劇「ジヤンニスキッキ」の中で豪商スキッキの一人娘ラウレッタが歌
う可愛いアリア「私の大好きなお父さん ♪O mio babbino caro ♪」。
「あの方と結婚させてくれないならベッキオ橋から飛び込むゎ」サァたいへん。
娘に弱い父親はいつの世にも同じです。
【一口メモ】
フィレンツェ:
イタリア半島中部、アペニン山脈を源流とするアルノー川の中流・トスカーナ
州にあるフィレンツェ、川はさらに斜塔で有名なピサを通って地中海へと注い
でいる。中世には金融業と毛織業で栄華を極めたメディチ家の本拠であり、
15世紀のイタリアルネッサンスでは花開いた文化の中心地であった。
フィレンツェの名は、ローマ帝国の植民地であった時代の「花の神フローラの
町」に因んで名づけられている。
ヴェッキオ橋:
イタリア語で「古い橋」を意味するヴェッキオ橋はフィレンツェ最古の橋。
ローマ帝国時代に初めて建造され、現在の橋は1345年に再建されたもの。
石造り3連アーチ式の橋は、今では橋上の両側には多くの宝飾店が軒を並べてい
る。また、この橋の2階部分は川の両側にある二つの宮殿(ヴェッキオ宮、ビ
ッティ宮)をつなぐ、かつてはメディチ家の専用回廊であった。
プッチーニの喜歌劇「ジヤンニスキッキ」
プッチーニは「蝶々夫人」も作曲したイタリアの作曲家。
ジヤンニスキッキは彼の最後の歌劇(オペラ)であり、且、唯一の喜歌劇(オ
ペレッタ)。ダンテの「神曲」地獄篇第30歌を題材とした、大富豪の遺産を巡
る親戚間の騒動と若い男女の恋を解決する様がコミカルに表現されている。
『連載を終えて』
私の ヨーロッパを巡る絵の旅もここで終わります。
先日、本連載を中心とした画集「陽と径を辿る」を発刊しました。
画集の編集にあたっては、建築を生業としてきたことから「建築史、建築工学と絵画の融合」を目指しつつ、内容は「建築屋さんのヨーロッパ紀行と絵」と優しくしたつもりでおります。
この画集の巻末の辞を以て、皆さんへのお礼とさせていただきます。
「高度経済成長期のゼネコンで働き、定年を迎えた60歳から手探りで描き始めた油彩
画。その数は大小合わせて400点余、時には出会った風景に感動し一気呵成に仕上げ
た絵もあるし、何年も没と加筆を繰り返させた世話の焼ける絵もあった。ふと気が付
くと現在400余点の殆どが手許から離れている。海外に行った絵もある。昨年、転居
をきっかけに手許に絵の痕跡くらいは残したいと画集を作ることを思いついた。
いずみ会の皆さんには長い間お付き合いいただきありがとうございました。
心よりお礼申し上げます。」
坂本成さんの画廊はこちらです。
第1回から最終24回までの作品を、また、作品の舞台となった都市・地域
を記入した地図も、下記PDFでご覧いただけます。
坂本成さん 画廊 24.pdf
*坂本さんの画集「陽と径を辿る」についてのお問い合わせは 下記に
お願いします。
坂本 成
東京都練馬区貫井1-38-1
電話 03-3990-9255