いずみ会は、旧都立大泉中学校・都立大泉高等学校の卒業生で構成される同窓会組織です

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去る218日に附属中学年生を対象とした「職業講話」が開催されたことは既に報告をしております。

紹介が遅れましたが、各講師の方々の講演の内容、講演を行っての感想と受講生の感想文を紹介します。

 

第三講は、大学卒業後アメリカ・ジョージア州立大学でスポーツマネージメントを研究され、現在は慶応大学大学院で健康マネジメントを教えておられる佐野毅彦さんです。アメリカ留学後は日本プロサッカー事務局で日韓ワールドカップ札幌の開催にも尽力された経験もあり、今回はスポーツ産業の概要と、関わっている人・仕事についての講演をしていただきました。

   高校38期 佐野毅彦さん

「スポーツ産業 How to monetize sports

 
 


職業講話では、特定の職業の仕事内容やキャリア構築方法、必要なスキルや資格、将来性などについて語られるのが一般的であろう。私は、大泉高校卒業後は日本の大学へ進学し、アメリカの大学院留学、Jリーグ事務局勤務を経て慶應義塾大学大学院の教員というキャリアを積んでいる。職業でいえばスポーツビジネスの実務家・研究者ということになるが、このような異端キャリアの話をしても、未来ある中学生の将来設計に役立ちそうもない。そこで趣向を変え、「スポーツ産業:How to monetize sports」と題し、スポーツに関わる職業の将来について構想する機会の提供を意図した講話をおこなうこととした。中学生には難解だと理解しつつ、敢えて英語の副題を添えたのは「子ども扱いしないので背伸びしてみよう」という意味を込めてのことである。

 講話では、「SPORTSではなく$PORT$の話をします」と前置きしつつ、現在は過去の延長線上にあることから、データにもとづき、国内スポーツ市場の変遷について、また、その背景として、少子化・高齢化・人口減少に直面する日本の社会構造や国民のスポーツ実施状況の変遷について説明した。字面からは退屈に感じられるが、生徒たちの認識とデータが示す現実との乖離が想定できたので、「えっ、そうなの!」と驚いてもらうことを意図した内容である。

 VUCAvolatility, uncertainty,complexity, ambiguity)と形容される、変化が激しく予測困難かつ複雑で曖昧な現代社会では、現在と未来は不連続だと捉えるべきである。そこで、スポーツに関わる職業の将来を構想するためのヒントとして、商品としてのスポーツの多面的な機能・役割についても事例を交えて説明した。

 講話を終えて、詰め込み過ぎの一方的な講義であったことを大いに反省した。まるで大学の講義であり、内容を絞り込んで対話中心に進めるべきであった。そもそも、職業講話はお兄さん、お姉さん世代の若い卒業生が担うべきであり、おじさんが出しゃばっても、生徒にはいい迷惑であろう。どこまで伝わったか心配しつつ、後日送付されたワークシートを読むと、要点がしっかりメモされていることに感心し(いまどきの大学生や大学院生より優秀である!)、多くの生徒が先入観・固定観念に縛られている自分に気づいた記述していること感動した。実は今回の講話の隠れテーマが「先入観・固定観念を打破せよ」であった。メッセージがしっかり伝わっていたことに安堵し、優秀な生徒たちに救われた思いである。

 

受講生からの感想(講師へのお礼の言葉は省略させていただきました)

☆スポーツそのものをビジネスにするのでなく、スポーツに関わるもの、スタジアムでの広告や周囲の店、スポーツテクノロジー、街の活性化など、人々の欲求を解決しようとするときにビジネスが発生する、興味深い講演でした。また、運動不足を階段をピアノにすることで解消する方法(NUDGE)が面白かったです。

☆固定観念に捉われて行動するのは危険で、最新のデータを見て世の中の傾向などを分析する必要がある事、運動不足が原因の死者がコロナや喫煙による死者よりも多く、そのような困り事や欲求にビジネスが隠れていることを学びました。自分自身スポーツがとても好きなので、将来を考えるうえで参考にしたいと思います。

☆スポーツについて$PORT$という新しい視点で見ることができ、興味深かったです。自分は積極的にスポーツをするタイプではなかったのですが、「する」以外にもスポーツとの関わり合いはたくさんあることを知りました。ビジネスが成立するのは「お困りごとの解決」「欲しいものの提供」ができた時、施設管理やファッションなど様々な要素が絡み合っている。行動経済学、科学テクノロジー学、偏った固定観念の転換等、一見関係のないこともスポーツビジネスに活かせ、大きな経済効果が生まれる。柔軟な発想と運用していく実力が必要である。スポーツは「遊び」であり、「人とのつながり」の道具である。

(注)上記の他にも多くの感想が寄せられています。

   下記PDFに収録していますのでご参照ください。

       受講生感想(佐野講師).pdf

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