本年1月から連載が始まった高校25期比田井(近藤)愼爾さんの「半生記」、今回は第5回です。今回は、県立高校生の意識改革を図るために地元農業施設へ引率した経緯の紹介です。また、縄文時代から続く”古道“である中山道についても言及されています。
寄稿 大泉の学窓から信州へ その4
”地元高校生の意識改革を図る巻”
高校25期 比田井(近藤)愼爾
皆さんが、「クラインガルテン? そんな話にのる奴が居るとは思えない…」なら、私も同感です。
事実2021年~23年県立高校農業科で授業を担当した際、当時の高校生から同じ事を言われました。以下は農業授業(グリーンライフ他)での対話です
私 : 俺の意見!…日本で農業をしてくれる人が居たら公務員にしたらどうだ?
高校生: いくらくれるの?
私 : 年収いくらなら君は農業をしてみたいと思うのかな?
高校生(指を1本たてる)
私 : 年収1億?そんな高年収は総理大臣でも、もらってないぞ
高校生: いや、1千万円
私 : 1千万にしても、公務員の最高年収の上だぞ、その1千万で何をしたいんだ?
高校生: 飲む、打つ、買う!
私 : そっちへ行くか、営農計画じゃないのか
こんなやりとりをしながら、私はクラインガルテンを説明しました。
すると高校生たちは「そんな話にのっかる奴が居るとは思えない」と言い、周囲も同感します。ならば、と私は決意し、生徒を長野県北佐久郡立科町(たてしなまち)クラインガルテン横の道の駅(資料k)に連れて行きました。
その4で紹介した写真の隣接地です。確かに住人の気配があるクラインガルテンを見た高校生は「え!本当に居るんだ、クラインガルテン」と言うと、納得し、直行したのがアイスクリーム売り場。立科町教育委員の方から話を聞いたりして、学校に戻りました。
少なくともクラインガルテンが私の作り話ではないと納得したように私は感じます。このクラインガルテン見学の仲間で林業に就職した高校生が2人、造園関係1人、他合計で5人近くは農業関連に進みました。もちろん八ヶ岳農業大学校も紹介しましたが「嫌だ、そんな所」と言われ、私は落胆しました。ところが、私の授業担当ではない高校生が一人、八ヶ岳農業大学校に入学してくれました。
今回クラインガルテンと道の駅を話題にしました。
これらの授業と関連し、中山道も話題としました。全世界に古い街道は残っていますが、中山道の場合は縄文時代から黒曜石を運ぶ街道でもあり、通る場所は少々違うとは言え、桁違いに古い街道です。興味がある方は諏訪郡下諏訪町、和田峠、星糞、立科町近辺から軽井沢、碓氷峠を越えた坂本宿など多数の地域で古道めぐり情報がありますから、参考にしてください。最近では佐久市香坂山遺跡も話題です。
私の授業では高校生があまり中山道に関心を示さなかったので、深入りは避けました。立科町には中山道当時の松並木を保存している場所もあります。そんな場所を歩いて何が面白いの?という感想もあるでしょう。しかし、毎年冬が終わると旧中山道をわざわざ徒歩で歩く旅人がおられます。遠い外国の方も歩いておられます。これは私たち日本人が思う以上に重要な観光資源なのかもしれない、と私は思います。
「ゆい」の仲間にこうした旅人も加えてくだされば、私の心に灯火がともる思いです。私も何回か遠い国を旅したからです。旅先で英語会話力の乏しい私に、訪問先の人々は温かく接してくれました。半生記その9あたりから、遠い国での交流と「ゆい」の世界発展に触れたいと願います。
資料k 道の駅立科
道の駅女神の里たてしな|関東「道の駅」公式ホームページ
(注)クラインガルテンとは
ドイツ語で「小さな庭」という意味で、施設の建設を行政が、管理運営を市民が行う地域農園をさし、ドイツでは200年以上の歴史をもっています。
日本では、菜園に宿泊可能な小さな家「ラウベ」が付いた滞在型施設のある市民農園をとして設置市町村が家・菜園・農機具・指導者・地元の人との交流までを整え、本気で田舎暮らしを考えている方には入口となる施設です。
日本では、宿泊施設つきの貸し農園である「滞在型市民農園」を指し、数日に渡って宿泊しながら農業体験ができるため、地域の魅力を深く味わえる場として全国で増加中です。