いずみ会は、旧都立大泉中学校・都立大泉高等学校の卒業生で構成される同窓会組織です

いずみ会

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棟方さんにお願いしている連載エッセイ「医療と健康」の序章として、本年3月に続いてのご寄稿をいただきました。
今回も、前稿同様に棟方さんの目に見えるような活躍がつづられています。
お楽しみください。

 町医者の酔いどれ日誌~血圧高め、血中アルコール濃度高めです~

 高校 32 期の棟方隆一と申します。
このたびご縁がありまして、いずみ会 HP に随筆を不定期投稿することになりました。人生の巡り合せの妙を感じずにはいられません。高校生時代は大泉学園駅北口の麻雀荘に日参し、あるいは同じく北口にある居酒屋に出入りし、週末はディスコに入り浸るという典型的な底辺学生でした。補導暦は 3 回です。現役で受験した千葉大学と早稲田大学は全滅。そして時が過ぎ去ること 40 年、元不良学生は立派に更生し、今では町医者なんぞを務めているわけですから、人生、何が起きるかわかりませんぞ。あっ、良い子の皆様は、まねをしないでくださいね。

 還暦町会長奮闘記

 娘が通う小学校の PTA 会長の任期が終了し、ほっとしたのもつかの間、間髪を入れず、次は町会長を務めなさいとのお達しです。令和 2 年 4 月 1 日、困惑しながらもヘロヘロと町会長としてのスタートを切ったわけでございます。私が居住する練馬区関町は、東京 23 区内にありながらも未だに広大な農地を有する大地主が点在し、地主の家系としてその苗字も櫻井、高橋、井口、鳥羽と決まっております。そのような環境の中、歴代の会長は大地主のじいさんと相場は決まっておりまして、自分のような若造が会長に就いたことなんぞはございません。会にとりましても、そして自分にとりましてもまさに青天の霹靂とはこのことです。敷地面積 30 坪ばかりの、いわゆるウサギ小屋に住まう私は、言わば小作人のせがれといった有様でございます。当会町会長の辞任に伴い、後任ポストを巡って、ある日突然自分に白羽の矢が立ったのでございます。続投希望の前会長がとある理由で辞任に追い込まれ、後任を育てていなかったという事情があります。所有資産も年齢制限もクリアしておりません私などは無名の新人、当然のように就任を固辞しておりました。ふっと気が緩んだとでも申しましょうか、何かの弾みで地元名士の櫻井氏のお屋敷に呼ばれ、ホイホイと出向いたところ、なんと大広間に一対一、タイマン勝負ではありませんか!時すでに遅し、勝負あり。小学校の大先輩に頭を下げられながらの会長就任要請、嗚呼!逃げ場なし、万事休す、であります。小心者の私は首を縦に振るしかございません。関町北四・五丁目町会第 15 代会長が誕生した瞬間です。関町北四・五丁目は練馬区の西はずれにあり、通りをはさんで西東京市に接しておりまして、会員世帯数は 930 ほど、緑も多く残っている穏やかな地域です。夏にはカブトムシが舞い、区民憩いの森にはアオダイショウも生息する自然豊かな土地でもあります。加えまして、かつてはいずみ会荒井会長もお住まいだったという、由緒正しき土地柄でもございます。

荒井会長からお寄せいただきました回顧録も合わせて記しましょう。
「まだ新青梅街道はなく道路予定の幅広の敷地が東伏見の方までずーっとつながっていて、工事が始まる前、人が万歳できるくらい大きな土管や砂の山あり。当時の小学校校長先生に「よい子は絶対それらで遊んではいけません」と朝礼の度に言われたけれど遊んだ!夏になるとラジオ体操の後、富士街道を越えた雑木林でカブトムシ、クワガタ取り。帰り道にお茶の木に弦を伸ばし自生している「むかご」を取り、炒ってもらって食べた。そう、我が家の猫が青大将と喧嘩してたし。(いつの話やねん?)などなど懐かしい!!関町北 4 町目界隈は(昔は関町 6 丁目)自然豊かで、のんびりしていましたねぇ。現在の姿は想像つきませんでした。時代を感じます。」(荒井眞理子談)

で、当地の説明に戻りますと、噺家の立川志らく氏もご近所さんでして、お嬢様が通う小学校は自分の母校、そして PTA 会長を務めておりました小学校です。筋を一本挟みますと、町名は変わり南大泉になりますが、歌手の菅原洋一氏も長年お住まいです。氏は夜間に黒い服を着て外出するものですから、何回かクルマで撥ねそうになり、肝を冷やした覚えがございます。頼むからもっと目立つ服装で歩いてね、と切に願うところです。

 では、ごく一部になりますが、会長としての仕事をご紹介しましょう。これを読んで、町会長という職にあこがれを抱いていただければ、存外の喜びです。PTA 会長の時もそうでしたが、私の職業は自営業でありますから、なんとか時間を融通して会務をこなす毎日が始まりました。まずは会長会に出席して始めましてのご挨拶。見回せば、そこはまるでお達者クラブ、ご老人の集まりです。もちろん自分が最年少。新人らしく初々しく振舞います。次いで行政との折衝。町会という立場上、行政から委嘱され請け負う業務のなんと多いこと!こちらとしましては、役所の複数の部署と個別に対応する必要があります。まずは地域文化部地域振興課。ここは町会および自治会を管轄する部署です。公設掲示板の管理を委託され、掲示板一基につき年間 33.000 円の管理費が支給されます。また、会員数に応じた助成金も支給されます。当会で年間 131.600 円です。会としましては、会員数などの状況を報告して、区との年間契約を更新するのが毎年のこととなります。次いで危機管理室区民防災課。当町会は防災会を有しておりまして、発災時には区の要請に基づき、支援活動をする立場にあります。練馬区方針では、地震と台風等による水害とでは避難場所および支援体制が異なり、地震被災時には、区立小中学校、これを避難拠点と呼びます、が避難場所となり、一方台風などによる風水害の際には、区民館等が避難場所になります。練馬区民の皆様はこれは覚えておいてくださいね。で、当防災会はと申しますと、前者において区とともに避難拠点運営連絡会を組織して、避難者の受け入れや在宅避難者の支援を行います。加えて申し上げますと、発災時に帰宅困難者を受け入れるのは都の施設である都立石神井高校となっており、都および区の施設で役割分担がなされていることがわかります。避難拠点運営連絡会としての助成費は年間 80.000 円。これは避難拠点における防災訓練などに費やします。平常時の活動としては、ほかに防災倉庫の管理を担っています。街中で見かける銀色の倉庫ですね。練馬区の防災倉庫内には、D級ポンプなどの防災資機材が保管されており、年に 1 回の点検を行い、機器が稼動するよう努めています。さてさて環境部環境課。当会は環境美化活動団体として登録されており、区内一斉清掃などを通じて、町の清掃活動をする必要があります。金銭的な援助はありませんが、行政負担で団体ボランティア傷害保険に加入し、また、ほうきなどの清掃活動用具が支給されます。これを使って街頭清掃に精を出せ、ということであります。新型コロナウィルス感染防止対策では、東京都の事業にも応募しました。感染防止対策に必要な物資購入費が 30 万円を限度に支給されるというものです。感染防止啓蒙ポスターを作製して(町会で作り、会員に配布することが助成を受ける条件です)、除菌シートとともに全世帯に配布するという壮大な?事業でした。申請書と事業報告書とに記載する項目および金額の細かいことにはほとほと参りましたが、なんとか書類を提出した結果、申請が認可されて一件落着となりました。備品としてタブレット端末を 2 台購入することもできました。やれやれです。余談になりますが、この時期に除菌シートをまとめて 1.000 個一括購入するのは、実は至難の業であることが判明。大手ドラッグストアの店舗で相談したところ、コロナ関連の商品は入荷が不安定で、店舗でも、いつ、どの程度の量の商品が入荷するかは予測できないとのことでした。はてさて困りました。そこで、ウェルパークの本部に掛け合い、除菌シート 1.000 個の売買契約を結び、商品は最寄の店舗で受け取る約束を取り付け、なんとか事業が遂行できたしだいです。公的事業なので、商品購入に際して、会としてポイントの付与を受けることはできないことも付け加えておきます。ほか、警察とは交通安全週間運動など、消防とは歳末警戒などの連携もあり、会として対応する組織は枚挙に暇がありません。当会では対外的な対応は会長担当となっておりまして、ひとつひとつ丁寧にこなしていくしかありません。東京都議会議員選挙の立会人を務めもいたしましたが、数多くのドラマがございましたので、その顛末につきましては後日、改めてお話しすることにいたします。ここまでお読みになった皆様、どうですか、町会長もおもしろそうでしょ?そう思ったあなた、大物です、町会長に向いています。このような世界もあることが少しでもおわかりいただければ幸いに存じます。

 日常臨床をこなしながら、町会長を務め、大学生、中学生、そして小学生 3 人の子育てと、人生フル稼働な毎日ですが辛くはありません。楽しんでいます。あ、忘れてはいけませんね。いずみ会理事会の会務にも楽しく関わっております。本日は 2021 年 9 月 7 日、パラリンピックが閉会して二日後です。最終日のマラソンにはボランティアとして参加し、コース上でレースを見守りました。どの競技も同様ですが、選手の一所懸命な姿は美しいと心からそう思います。ではそろそろ筆を置きます。診療室よりマラソンの余韻に浸りながら。

   
  
     
棟方隆一さん、練馬区武蔵関で「むなかた歯科医院」を開業されています。
     http://munakata-dental.com/

(編集局注)
  棟方さんには、本編の前段として、「アラ還PTA会長奮闘記」もホームページに掲載
  をさせていただいています。
  会員、及び、サークル活動 No.33(3月20日掲載)もご覧ください。

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